こむかい産婦人科 | 立川駅の産婦人科・婦人科・妊婦健診・レディースクリニック

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スリンダ錠

スリンダ錠について

スリンダ錠は、エストロゲンを含まない避妊用のピル(ミニピル)です。
有効成分はドロスピレノンという黄体ホルモンのみで、毎日きちんと服用することで、従来の低用量ピル(OC・LEP)と同程度の避妊効果が期待できます。

これまでの低用量ピルは、エストロゲンが含まれているため、体質や年齢によっては使いにくい場合がありました。
スリンダ錠はそのエストロゲンを含まないため、「ピルは気になるけれど体への負担が心配」という方にとって、新しい選択肢となるお薬です。(2025年6月~)

スリンダ錠とOC・LEP(低用量ピル)の比較

成分と特徴

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

エストロゲン(女性ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)が両方入っています。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

プロゲスチン(黄体ホルモン)のドロスピレノンのみが入っています。エストロゲンは含みません。

処方時に確認すること

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

血圧、喫煙の有無、頭痛のタイプ、家族の血栓症や心臓病の歴史、乳がんや肝臓病の有無などを確認します。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

低用量ピルと同じ確認に加えて、腎臓の機能や、カリウムを上げやすい薬(高血圧薬・利尿薬など)を飲んでいないかも重点的に確認します。

飲み方

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

1日1錠を決まった期間飲み、その後何日か休むタイプ(例:21日飲んで7日休む)や、ずっと続けて飲むタイプなど、複数の飲み方があります。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

1日1錠を休みなく28日間ずっと飲み続けます。毎日同じ時間に飲むことが大切です。

月経移動(生理日のコントロール)

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

休薬のタイミングを調整したり、連続で飲んだりすることで、生理を遅らせたり飛ばしたりできます。旅行や運動会など、生理日を避けたいときに活用できます。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

生理のタイミングをきっちりコントロールするのには向きません。出血パターンが不規則になりやすいため、「月経移動」の目的での使用は基本的にできません。

避妊効果

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

きちんと飲めば、1年間で100人中1人も妊娠しないくらい(妊娠率0.3%)、避妊効果があります。
(参考:低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン)
※飲み忘れが無く、正しく続けて使用している場合

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

スリンダも同じくらい高い避妊効果があるとされています。正しい飲み方ができれば、避妊効果は低用量ピルと同等です。

やめた後の妊娠と排卵

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

やめたあとは、数週間~数か月で排卵が戻ってきます。約1年たつと、「妊娠しやすさ」は飲んでいなかった人とほぼ同じレベルになるとされています。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

スリンダをやめれば、比較的早く自然な排卵周期に戻るとされています。他のピルと同じように、「この薬を飲んでいたことが、将来の妊娠の邪魔になる」ということはありません。

生理痛・生理の多さへの効果

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

生理痛や生理の量が多い場合に、改善するケースが多く、「治療薬」として使われることもあります。このことは、多くのお医者さんに認められており、ガイドラインでも推奨されています。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

生理の量が少なくなったり、生理が来ない状態になって楽になる人もいますが、「生理痛や生理の多さを治す治療薬」というよりも、「避妊薬」として使うのが基本です。治療目的で使う場合の十分なエビデンスは、まだ低用量ピルほどは確立していません。

卵巣機能が低下している方への使用(カウフマン療法)

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

卵巣の働きが弱っている場合に、エストロゲンとプロゲスチンを周期的に補う「カウフマン療法」の一部として使われることがあります。これにより、骨や血管も守ることができる可能性があります。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

エストロゲンが入っていないため、「カウフマン療法の代わり」にはなりません。卵巣機能低下に対するホルモン補充としては力が不足しており、本格的なホルモン補充療法(HRT)が優先されます。

副作用

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

吐き気、頭痛、乳房の張り、気分の落ち込みなど。多くは飲み始めて数か月で軽くなります。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

ほぼ同じような軽い症状が出ることがあります。ただ、不正出血や生理パターンの変化がスリンダの方が多く出やすいのが特徴です。

重い副作用

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

ごくまれですが、血栓症(足や肺の血管の詰まり)、脳卒中、心筋梗塞、乳がんの発症リスク増加、重い肝臓病などが報告されています。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

血栓症、乳がん、肝臓病のリスクはゼロではありませんが、エストロゲンが入っていない分、血栓症のリスクは低いとされています。ただし、腎臓が悪い方や血液中のカリウムが高い病気がある方には向きません。

血栓症(足や肺の血管が詰まる病気)のリスク

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)

飲まない人に比べると血栓症のリスクは高くなります。ただし、もともとの病気自体の頻度が低いので、実際に起こる人の数は少ないです。ただし、「年齢が高い・喫煙・高血圧・片頭痛(特にオーラがある)・肥満」などが重なると、リスクがぐっと上がります。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)

スリンダなどのミニピルは、血栓症のリスクが「はっきり増える」とは言えないレベルとされています。ただし、リスクが「ゼロ」ではないことは理解いただく必要があります。

特に向いている方

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)
  • ✅ 若くて(10代~30代)健康で、大きな持病がない方。
  • ✅ 生理痛や生理の多さで困っている方。
  • ✅ ニキビやPMS(月経前症候群)の改善を期待したい方。
  • ✅ 生理日を細かくコントロールしたい方(月経移動など)
スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)
  • ✅ 40代以降の方
  • ✅ 喫煙されている方
  • ✅ 高血圧や肥満がある方
  • ✅ 血栓症が心配な方や、血栓症の家族歴がある方
  • ✅ 授乳中の方
  • ✅ 「エストロゲン入りピルはリスクが高い」と医師に言われた方

特に向いていない方、飲めない方

エストロゲン入りピル(OC・LEP:低用量ピル)
  • 乳がんの治療中または治療後の方
  • 重い肝臓病や肝臓の腫瘍がある方。
  • 重い高血圧(血圧がかなり高い)がある方。
  • 過去に足の血栓症や肺塞栓症になったことがある方。
  • 片頭痛があって、「キラキラ光る」などの前兆(オーラ)がある方。

⚠️飲んでいる最中に、足の強い腫れ・息切れ・急な激しい頭痛・視野異常などが出た場合は、すぐに受診してください。

スリンダ錠(エストロゲンなし:ミニピル)
  • 乳がんの治療中または治療後の方。
  • 重い肝臓病や肝臓の腫瘍がある方。
  • 重い腎臓病やカリウムが高い病気がある方
  • 原因不明の性器出血がある方(原因の検査が先に必要です)。

⚠️ 飲んでいる最中に、血栓症を疑う症状(足の腫れ、息切れなど)や、強い倦怠感・筋力低下・動悸など(カリウムが高くなったときのサイン)が出た場合は、自己判断で続けずにすぐに受診してください。

よくある質問

スリンダは若い人には向かないですか?

スリンダは「若いから使えない」わけではありません。ただ、若い方で生理痛や生理の多さなど「生理に関するトラブルを一緒に治したい」と思う場合には、低用量ピル(OC・LEP)の方が、より治療効果が期待できるため、まずそちらをご提案することが多いです。若くても「ピルのリスクが心配」「エストロゲンを避けたい」という希望があれば、スリンダも選択肢になります。

スリンダをやめたら、すぐに妊娠することもありますか?

理論的には可能です。スリンダなどのミニピルは、やめたあとの排卵回復が比較的早いとされており、中止後1周期で排卵が確認される方もいます。ただし「すぐ妊娠する」「妊娠しづらくなる」は個人差が大きく、スリンダを飲んでいた期間の長さや、個人の体質にも左右されます。妊娠計画がある場合は、事前に医師にご相談ください。

スリンダで生理が来なくなったら、問題ありますか?

スリンダを飲んでいて生理が来なくなるのは、よく見られる現象です。これは「薬が効いている証」でもあり、多くの場合は問題ありません。ただし、飲み始めて数か月以上たっているのに不安なことや、他の症状(強い腹痛など)がある場合は、医師にご相談ください。

低用量ピルとスリンダ、どちらを選べばいいですか?

最終的には、医師とのカウンセリングを通じて、「あなたの年齢・健康状態・ライフスタイル・希望する効果」をふまえた上で、一緒に決めることが大切です。
以下の判断軸があります:
•低用量ピル(OC・LEP)をご提案する方
若くて健康、生理痛などの「プラスアルファの効果」を希望、月経移動の必要がある場合など。
•スリンダをご提案する方
40代以降、喫煙、高血圧・肥満などがある、血栓症が心配、授乳中、「シンプルに避妊したい」という希望などの場合。

🧠 情報監修:こむかい産婦人科
📚 参考資料:本資料は、厚生労働省がだしている医学的ガイドラインおよび国際機関(WHO・CDC・FSRH:イギリスの性・生殖ヘルスケア専門家団体)の推奨に基づいて、当クリニックが作成した院内指針です。
⭐最終更新:2025年12月

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