疾患の概要
性器ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス(HSV)」というウイルスが原因で、性器まわりに水ぶくれや浅い傷(潰瘍)ができる病気です。ウイルスには1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があり、どちらも性器に感染します。 感染するとウイルスは神経の奥にひそみ、疲れやストレス、月経などをきっかけに再び活性化して症状が出ることがあります。初めての感染では症状が強く出やすく、熱やリンパの腫れを伴うこともありますが、再発では軽いことが多いです。 また、自覚症状がなくてもウイルスが外に出ていること(無症候性排泄)があり、その場合でも他の人にうつしてしまう可能性があります。
放置した場合
初めての感染では、症状が強く出ることが多く、痛みや排尿困難、発熱、歩行困難が起こることもあります。まれに神経障害をきたすケースも。 再発を繰り返すと、日常生活への影響が大きくなるほか、パートナーとの関係や妊娠・出産時にも配慮が必要になることがあります。心と体の負担を減らすためにも、早めの診断と治療が大切です。
検査方法
当院では、診察で病変の状態を見たうえで、必要に応じて綿棒で病変を拭って検査を行います。
※症状が軽い場合、検査でウイルスが検出されないこともあります。
治療方法
症状のあるときには、抗ウイルス薬の内服で治療します。重症の場合や妊娠中は点滴による治療が必要なこともあります。
- アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの内服薬
- 年6回以上再発する方には、抑制療法(毎日お薬を飲んで再発を防ぐ)が保険適用で行えます
- 患者様ご自身が前兆を感じたときに早めに内服する**早期自己治療(PIT)**も可能です
費用
治療や検査は、症状や検査内容によって異なりますが、保険診療の対象になります。おおよその目安は以下の通りです:
検査・治療費用(保険3割、初診の場合):2,000円程(処方も含め)(薬代は別)
参考までに薬局での支払いは保険3割負担で):1,500円程、再発抑制療法は1か月分で2,000円程と思われます。
※詳しくは、個別にご案内いたします。
よくある質問
治癒の確認は必要ですか?
症状が自然に治っても、ウイルスは神経の中に残っています。そのため「完治」というより「再発を防ぎながら上手につきあう」ことが大切です。
症状が消えてもウイルスが排出されていることがあるため、パートナーへの配慮や、再発時の早期治療がとても重要です。
妊娠への影響はありますか?
妊娠中に性器ヘルペスを発症した場合は、赤ちゃんへの感染(特に出産時の産道感染)に注意が必要です。
• 初感染で発症から1か月以内に出産になる場合は、帝王切開が勧められます
• 再発の場合は、発症から1週間以上経過し、病変が治まっていれば自然分娩も可能です
妊娠中の治療も可能で、抗ウイルス薬を使うことができます。妊娠後期に再発を予防する内服をすることもあります。
パートナーの検査や治療は必要ですか?
パートナーに症状がなくても、ウイルスを排出している場合があります。感染経路をたどるのが難しいことも多く、約70%の感染源の方は自覚がありません。
• パートナーが水ぶくれや潰瘍をくり返している場合は、検査をおすすめします
• 感染していないパートナーには、コンドームの使用。
• ただし、コンドームでも肛門や大腿部などへの再発までは防げないこともあるため、必要に応じて一緒にご相談ください。
最後に
性器ヘルペスは、誰にでも起こり得る身近な感染症です。早めに相談していただければ、治療や再発予防が可能です。当院では、プライバシーに配慮しながら、丁寧にご対応しております。どうぞご相談ください。

