疾患の概要
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる性感染症です。日本ではもっとも多くみられる感染症のひとつで、特に20代の若い女性に多い傾向があります。
多くの方が自覚症状がないまま感染しているため、知らないうちにパートナーにうつしてしまうこともあります。女性では、主に子宮の入り口(子宮頸管)に感染し、進行するとさらに奥の子宮や卵管、骨盤内に炎症が広がることもあります。
放置した場合
クラミジア感染症を治療せず放置すると、感染が子宮の奥や卵管、さらには腹腔内まで広がることがあります。これにより、
- 卵管炎、骨盤内炎症性疾患(PID)
- 肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)
- 卵管不妊や卵管妊娠
などを引き起こすリスクがあります。
また、再感染を繰り返すことで、将来的な妊娠に影響する可能性もあるため、早期発見・早期治療が大切です。
検査方法
検査は子宮頸管の分泌物を専用のスワブ(綿棒)で採取し、核酸増幅法(PCRなど)という高感度の検査でクラミジア菌を調べます。
症状がなくても感染していることがあるため、性交渉のある方には定期的な検査をおすすめしています。
また、のどに感染しているケースもあり、必要に応じて咽頭(のど)の検査も行います。
治療方法
治療は、抗菌薬(抗生物質)の内服で行います。以下の薬がよく使用されます:
- アジスロマイシン:1回の服用で済むことが多く、妊娠中の方にも使用可能です
- クラリスロマイシン:7日間の内服が必要です
症状が強い場合や骨盤内まで炎症が進行している場合は、点滴治療や入院が必要となることもあります。
費用
検査費用(保険3割負担、初診の場合):2,040円~4,000円
(保険3割負担、再診で、喉の検査):2,000円
治療費用(処方箋料)(保険3割負担、再診):600~700円(薬代は別)
参考までに薬局での支払いは保険3割負担で):700円程と思われます。
※検査内容や受診の目的によって変わることがあります。
よくある質問
治癒の確認は必要ですか?
はい、とても大切です。治療後も菌がいなくなっているかを確認するために、治療後3週間以上経ってからの再検査をおすすめしています。
早すぎる検査では、死んだ菌の遺伝子を検出してしまい、偽陽性になることがあるため、正しい時期での検査が必要です。
妊娠への影響はありますか?
クラミジア感染は、妊娠にさまざまな影響を与える可能性があります。
• 妊娠中に感染すると、流産・早産・前期破水のリスクが高まる可能性があります
• 出産時に感染があると、赤ちゃんに感染し、新生児の結膜炎や肺炎を引き起こすことがあります。
そのため、妊婦健診では全員にスクリーニング検査を実施しています。
パートナーの検査や治療は必要ですか?
クラミジアは、再感染がとても多い感染症です。
患者様が治療を受けても、パートナーが無症状のまま感染していれば、再び感染してしまう可能性があります。
そのため、
• パートナーも検査・治療を受けていただくこと
• 治癒が確認されるまでの性交渉の中止
• コンドームの使用
をお願いしています。
ご自身だけでなく、パートナーや将来のご妊娠を守るためにも、どうか早めの受診と正しい治療を心がけてください。
ご不安なことがあれば、いつでもお気軽にお声かけくださいね。

