疾患の概要
カンジダ外陰腟炎とは、腟や外陰部に「カンジダ」と呼ばれる真菌(カビの一種)が増えて炎症を起こす病気です。女性の4人に3人が一生のうちに1度は経験すると言われるほど、ありふれた疾患です。
もともとカンジダ菌は腸や皮膚などにいる常在菌で、健康な状態では悪さをしませんが、抗生物質の服用や妊娠、疲れ・ストレス、糖尿病、通気性の悪い下着などの影響で腟内のバランスが崩れると、急に増えて症状が現れます。
主な症状は、かゆみ、灼熱感、痛み、ヨーグルト状・酒粕状の白いおりものなどで、下着の中がムズムズするような違和感が出る方もいます。
放置した場合
カンジダ外陰腟炎は、治療すれば数日〜1週間で良くなることがほとんどです。ですが、症状を放置していると強いかゆみや痛みが続き、掻き壊して傷ができてしまうことも。再発を繰り返す方もいらっしゃるので、気になる症状があるときは早めにご相談ください。
検査方法
診察では、症状やおりものの状態を確認した上で、腟内の帯下を顕微鏡で菌を観察したり、培養して菌の種類を調べたりします。
治療方法
カンジダの治療は、主に抗真菌薬を使います。以下の方法があります。
- 腟錠・坐薬:6日間毎日使用する方法や、週に1回の投与で済むものもあります。
- 外用クリーム:外陰部のかゆみや赤みに対して塗布します。1日2〜3回塗っていただきます。
- 内服薬(フルコナゾール):1回の内服で治療できる場合もありますが、妊娠中や授乳中の方には使えません。
治療中は、通気性の良い下着を使い、石けんでの洗いすぎは控えてください。症状が落ち着くまでは性行為を控えることも大切です。
費用
検査費用(保険3割負担、初診の場合):3,000円程(処方含め)(薬代は別)
参考までに薬局での支払いは保険3割負担で):700円程と思われます。
使うお薬や治療内容によって多少前後しますので、詳しくは受診時にご説明いたします。
よくある質問
治癒の確認は必要ですか?
基本的には、かゆみやおりものなどの症状がなくなれば治ったと考えて差し支えありません。検査で菌がいなくなったかどうかを確認する必要はありません。ただし、症状が再発したり長引く場合は、再検査や薬の変更なども考慮します。
妊娠への影響はありますか?
妊娠中もカンジダにかかることはあります。腟の中に菌が多いまま出産を迎えると、まれに赤ちゃんの口の中にうつる(鵞口創といいます)ことがありますが、命に関わるものではありません。妊娠中は内服薬を避け、腟錠や外用薬で治療します。特に妊娠後期(36週以降)に大量のカンジダがいる場合は、出産時の感染予防のために治療をおすすめします。
パートナーの検査や治療は必要ですか?
基本的には、パートナーの検査や治療は必要ありません。カンジダは性感染症の一面もありますが、性交渉によらず自分の腸から移ってしまうことも多いです。男性は症状が出にくいですが、もし痒みや赤みがある場合は、同様に外用薬での治療が可能です。再発を繰り返す方では、パートナーの方の治療が一時的に必要になるケースもあります。

