2021/09/08
8月14日に日本産科婦人科学会、9月3日に厚生労働省より、妊婦の方への新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA(以下mRNA))ワクチン接種に関しての情報が更新されました。
ここ最近は前回のトピックス作成時(令和3年7月12日)と状況が異なってきましたので、情報更新をいたします。
まず学会や厚生労働省が伝えたいことは
(1)妊娠時期にかかわらず、mRNAワクチン接種を推奨すること
(2)妊婦の夫やパートナーのmRNAワクチン接種を推奨すること
の2点です。
その他、前回からの変更としては
前回:器官形成期(妊娠12週まで)はmRNAワクチン接種を避ける
今回:時期を問わずmRNAワクチン接種を推奨する
となっています。
mRNAワクチン接種を推奨する理由をQ&A形式でご紹介します。
1)妊娠中にmRNAワクチンを接種を推奨する理由は?
→mRNAワクチンを接種した妊婦さんは接種していない妊婦さんより感染のリスクが低いことが報告されています。また、アメリカ疾病対策センター(CDC)もワクチン接種を強く推奨しています。
妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、妊娠時以外のリスクに加え、特に妊娠後期では重症化しやすく、早産となるリスクが高まるといわれています。(実際に起こりうることとしては、重症化した場合に新型コロナウイルス感染症に対応できる産科のある病院を探すのは困難ということです。早産の可能性があり、新生児集中治療室がある病院となればさらに病院探しは困難となると思われます。)
2)mRNAワクチンの副反応は?
→妊婦さんと一般の方に差はありませんが、発熱した場合は早めに解熱剤を服用してください。アセトアミノフェンは服用しても問題ないため頭痛がある場合も内服可能です。
3)安全性は?
→妊娠の異常(流産、早産、その他)の頻度はmRNAワクチン接種をしなかった妊婦さんと同様であると報告されています。イスラエルや海外の有名医学誌、英国、CDCのデータでは流産率等は変わらない報告とされています。
4)妊婦の夫やパートナーのmRNAワクチン接種を推奨する理由は?
→妊婦さんが感染する場合の約8割は夫やパートナーからの感染と報告されています。
5)他の利点は?
→妊婦さんがmRNAワクチン接種を受けていれば、万が一感染しても重症化しないで無症状、あるいは軽症で済む可能性があります。その場合には、新型コロナウイルス感染症が治るのを待って予定日近くに出産できる可能性が高まります。
また、mRNAワクチン接種を受けた妊婦さんからは、胎盤を通じて赤ちゃんに新型コロナウイルスに対する抗体が移行するので、生まれたばかりの赤ちゃんを守ることができます。
以上、現時点での情報となります。
今もなお新型コロナウイルスの感染が広まっています。
ご自身が感染しないように、重症化しないように、周りの大切な人に感染させないためにもmRNAワクチン接種をご検討ください。
なお、2回の接種を受けても1~2週間以上経ないと抗体は十分ではなく、また変異ウイルスには効果が不十分な可能性もあるため、今後も三密を避け、マスク着用をお願いします。