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子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨の再開について
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11月26日に厚生労働省よりHPVワクチンの積極的勧奨について令和4年4月から順次開始していくとの通知が出されました。

1.子宮頸がんワクチンのこれまでの経緯について
子宮頸がんワクチンは2013年4月に原則無料の定期接種に追加されましたが、接種後に体の広範囲に痛みが広がるなどの「多様な症状」が多数報告されたことで、同年6月に自治体が対象者に通知して接種を呼びかける「積極的勧奨」が差し控えられました。その後、ワクチン接種の呼びかけは再開されず、定期接種となる前に70%以上あった接種率は1%を切る状況になっています。
今年に入り、厚生労働省の専門家による検討部会は子宮頸がんワクチンの積極的勧奨を再開についての議論を始め、10月、11月の検討部会ではワクチン接種後に生じた症状に苦しむ方への支援やワクチンに関する情報提供の進め方、ワクチンの安全性と有効性に関するデータなどが示されました。ワクチンの安全性と有効性について特段の懸念が認められないことから、子宮頸がんワクチンの積極的勧奨を全会一致で決定したという流れになります。

2.子宮頸がんについて
a.子宮頸がんの現状は
子宮頸部という子宮の出口に近い部分にできるがんです。

20歳代より増加し、若い世代の女性のがんの多くを占めます。
近年、日本では徐々に増えてきており、年間約11,000人が罹患し、約2,800人が亡くなっています。30歳代までにがんの治療で子宮を失い、妊娠できなくなる方が毎年1,200人ほどいます。
子宮頸がんの死亡率の増加は加速しています。(肝臓、胃、大腸、肺がんは低下、乳がんも増加が止まってきているにもかかわらず)
しかし、子宮頸がんは早期に発見し治療を受ければ、命を落とさずに治すことができます。
ただ段階によって治療は異なり、子宮頸部を切り取ったり、子宮を切除する場合もあり、妊娠しても早産リスクが高くなったり、妊娠できなくなったり、その他生活に大きな支障を生じる場合があります。

b.子宮頸がんの原因は
子宮頸がんの原因のほとんどはHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスです。
HPVは性的接触の経験があれば、誰でも何度でも感染する可能性がある、ありふれたウイルスです。
200種類以上のタイプがあり、子宮頸がんの原因になるタイプが少なくとも15種類はあることがわかっています。

c.HPVに感染し、子宮頸がんになるまで
HPVに感染してもすぐにがんになるわけではなく、いくつかの段階を経ていきます。

d.現時点で子宮頸がんに対してできることは
HPVに感染しないようにすること+前がん病変や子宮頸がんを早期に発見し治療すること
つまりHPVの感染を予防する子宮頸がんワクチンの接種+子宮頸がん検診が重要です。

今回のトピックスは子宮頸がんワクチン積極的勧奨再開が中心ですので、以後は子宮頸がんワクチンに関して述べていきます。

3.子宮頸がんワクチンについて
a.子宮頸がんワクチンの効果は
現在定期接種できるHPVワクチンは、2価ワクチンと4価ワクチンの2種類があります。2価ワクチンは子宮頸がんの主要な原因となるHPV16・18型に対するワクチンであり、一方4価ワクチンはHPV16・18型および尖圭コンジローマの原因となるHPV6・11型の4つの型に対するワクチンです。どちらも6カ月の間に3回の筋肉注射が必要です。
3回接種することで子宮頸がんの原因のHPV16・18型の感染をブロックし、子宮頸がんを50~70%ブロックします(感染前であれば)。そして少なくとも10年以上は抗体が感染を予防し続けます。

b.子宮頸がんワクチンのリスクは
子宮頸がんワクチン接種後に多くの方に接種部位の痛み、腫れ、赤み等が起こることがあります。
また稀ですが、重いアレルギー症状、神経症状の発生、積極的勧奨を控える要因となった多様な症状の報告もあります。子宮頸がんワクチンが原因となったものかどうか不明なものを含め、重篤な症状の報告は1万人中約5人です。

c.子宮頸がんワクチン後の健康被害に対する対応について
現在、接種後に何らかの症状が現れた方のための診療相談窓口が全国で90の医療機関(令和2年1月6日現在)に設置され、全ての都道府県に整備されています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkakukansenshou28/medical_institution/dl/kyoyroku.pdf)。これらの協力医療機関においては窓口診療科・担当者が定められおり、関連する診療科間の連携がはかられ、さらに必要に応じて慢性痛や多様な症状の診療の専門医のいるさらなる高次拠点施設への紹介体制もすでに整備されています。
また健康被害が生じた場合は医療費、障害年金等の給付が受けられる救済制度もあります。こちらは市区町村の予防接種担当部門にお問い合わせください。

d.子宮頸がんワクチンを接種するかどうか
どんなワクチンでも効果とリスクの両方があり、効果がリスクをはるかに上回る場合に推奨されます。子宮頸がんワクチンが国際的に広く推奨されています。それは社会全体における効果がリスクをはるかに上回るという科学的根拠に基づいているからです。
正しい知識を共有し、接種をするか否かを1人1人自らが選択することが重要です。
参考までに
厚生労働省ホームページ「HPVワクチンの接種を検討しているお子様と保護者の方へ
厚生労働省ホームページ「HPVワクチンを受けるお子様と保護者の方へ

※PDF形式の文書をご覧いただくには、Adobe® Acrobat Reader(無料)が必要です。
お持ちでない方はこちらから入手できます。

現在子宮頸がんワクチンの定期接種対象は小学6年から高校1年相当の女子ですが、勧奨が中止されていた8年余りの間に接種機会を逃した人たちに公費で接種する救済策も、設ける方向で検討されるようです。今後の発表や報道に注目です。また新しい情報が出てきましたら当院のトピックスでお知らせしたいと思います。
なお、当院は現在、立川市の子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種実施医療機関となっておりますので、接種希望の方はご相談いただければと思います。よろしくお願いいたします。

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