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こんな症状・お悩みをお持ちの方は、一度ご相談ください
病状について
子宮腺筋症
概要
子宮腺筋症は、子宮内膜に類似した腺上皮および間質組織が子宮筋層内に発生する良性の疾患です。子宮全体が肥大する場合もあれば、一部のみ肥大して子宮筋腫との鑑別が必要となる場合もあります。以前は子宮内膜症の一部と考えられてきましたが、現在では臨床像や治療法が異なるため、別の疾患として扱われています。
この疾患は40歳代に発症のピークがあり、経産婦に多く見られます。妊娠した場合には、流産や早産のリスクが上昇します。日本における子宮腺筋症の罹患率は5~70%(平均20~30%)とされており、子宮腺筋症患者の6~20%に子宮内膜症が合併し、64%に子宮筋腫を合併するといわれています。そのため、治療においてこれらの合併症を考慮する必要があります。
症状
疼痛(月経痛、慢性骨盤痛、性交痛、排便痛)
子宮出血(月経過多、不正子宮出血、貧血)
検査方法
診断には超音波検査が必須です。さらに詳しく調べる場合は、腫瘍マーカー等の血液検査やMRI検査を行います。
治療方法
①薬物療法
a)対症療法
貧血に対する鉄剤
過多月経に対する止血剤
疼痛に対する非ステロイド性抗炎症(NSAIDs)
b)ホルモン療法
卵胞および黄体ホルモン配合製剤
(例:ヤーズ、ドロエチ、ルナベル、フリウェル など)
黄体ホルモン製剤
(例:ジエノゲスト)
②手術療法
a)根治療法
子宮全摘術、腟上部切断術
b)温存療法
子宮腺筋症病巣切除術
(有効性や安全性の検討が今後必要です)
子宮内膜症
子宮が大きくなる場合、卵巣がはれる場合、
子宮、卵巣、周辺の臓器がくっついてしまう癒着の場合があります。
大きさ、貧血の有無、年齢、今後妊娠を希望するか否か等が治療を決めるポイントになります。
お話を伺い、検査し、今後を相談しましょう。
卵巣腫瘍
良性から悪性まで多くの種類があります。
超音波検査で大きさや種類を推定、血液検査、場合によりMRI等を行い、状況をまず把握しましょう。
ただ急な痛みが出たときは緊急手術が必要な場合があります。
子宮がん検査で異常
詳しい検査が必要です。
生理中でないときにご来院ください。
状況によっては病院への紹介が必要な場合があります。
卵巣機能不全
(将来的に)妊娠が難しくなる場合があります。
血液検査を行い、漢方薬やホルモン剤等で治療しましょう。
基礎体温は参考になりますので、ぜひつけてください。
性行為感染症(性病)
性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス、膣トリコモナス等があります。
現在症状がなくても病気が蔓延し、強い痛みが出たり、将来的に妊娠に影響がでる場合もあり、治療が必要です。
パートナーも検査、治療が必要な場合があります。
性器クラミジア感染症
概要
性器クラミジア感染症はクラミジア・トラコマティスが主に泌尿生殖器に感染して発症する疾患です。その患者数は世界的にも全ての性感染症の中でも多いと言われています。男女ともに無症状の保菌者が多数存在するため蔓延するのを食い止めるのが困難となっています。
また、クラミジア陽性者の約10%に淋菌感染が合併していると言われています。
クラミジア性子宮頸管炎は感染後1〜3週間で発症します。子宮、卵管を経て腹腔内に侵入し卵管や卵巣の炎症や骨盤腹膜炎を発症します。さらに上腹部に感染が広がれば肝臓周辺にまで炎症が及ぶこともあります。
またいろいろな後遺症も問題です。
- ①卵管が障害を受ければ、不妊症や卵管妊娠の原因になることがあります。
- ②妊娠中に感染を起こせば流産、早産の原因にもなります。
- ③出産時には新生児の目や肺の炎症を引き起こすこともあります。
症状
帯下(おりもの)の増加、不正出血、下腹痛、性交痛が出現する事もありますが、半数以上に自覚症状がないとの報告もあります。またオーラルセックスで咽頭に感染を起こすこともあります。
検査方法
子宮頚部の帯下の感染検査を行います。クラミジアは感染する範囲が広く、子宮頚部のみの検索では全体像の把握が困難な場合があるため、触診、画像検査、血液検査等を含めて総合的な判断が必要です。また、クラミジア陽性者の約10%に淋菌感染合併があるため、クラミジア、淋菌同時検査も可能です。
治療方法
抗生剤の内服や注射で治療を行います。
治療開始から3週間後に再検査を行い、陰性が確認できれば治療完了です。
クラミジアの感染が長期にわたると後遺症のリスクも上昇します。
少しでも疑わしい症状がある場合はクリニックで検査を受けましょう。また、パートナーが感染している場合や感染が疑われる場合も検査をすることをお勧めします。
外陰部膣カンジダ症
概要
外陰部膣カンジダ症は、日常的によく見られる疾患であり、75%の女性が生涯に一度は経験するといわれています。主な原因菌は、消化管や皮膚の常在菌であるCandida albicansです。この菌は直腸から肛門、会陰を経由して腟に移行します。ただし、菌が検出されただけではカンジダ症と診断されず、明確な症状や所見が出現して初めて診断されます。そのため、菌が検出された場合でも、症状がない限り治療の対象にはなりません。
膣内のカンジダ保有率は、非妊婦で15%、妊婦で30%とされています。そのうち、発症率は非妊婦で35%、妊婦で15~30%です。誘因として最も多いのは抗菌薬の内服後ですが、その他にも妊娠、糖尿病、消耗性疾患などが関与する場合があります。それでも原因が特定できないことも少なくありません。この疾患の性交感染率は約5%と低いため、パートナーの追跡調査は必須ではないとされています。
症状
主な症状として、外陰部や膣のかゆみ、帯下の増量(酒粕状やヨーグルト状)があります。また、灼熱感や痛みを訴えることもあります。
検査方法
帯下を採取し、顕微鏡での観察や培養検査を行います。
治療方法
腟錠や塗布薬を使用します。
(治療例)クロトリマゾール膣錠、クロトリマゾールクリーム
また、内服薬が処方される場合もあります。
(治療例)フルコナゾール
注意事項
局所の清潔を保ち、石鹸の使用を控えることが推奨されます(石鹸は皮膚や粘膜を刺激し、炎症を悪化させる可能性があるため)。
治癒の判定は、カンジダの消失確認ではなく、かゆみや帯下の異常といった症状が消失したことを基準とします。
更年期障害
症状の種類も程度もさまざまです。
漢方薬やホルモン剤等で治療しましょう。
月経前症候群(PMS)
生理前に身体や気持ちに不調が現れ、悩まれる方も多いようです。
漢方薬、ホルモン剤等で症状を改善させましょう。
子宮脱、膀胱瘤
ペッサリーという器具で下がってくるのを抑える保存的治療と手術という対処があります。 症状の程度により治療を選択しましょう。